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ドイツ連邦財務省のバイオ燃料市場モニタリング

ドイツ連邦財務省は、エネルギー税法の第50条第6項に基づき、2007年までのバイオ燃料に対する過剰及び過少補償の現状をモニタリングし、結果をバイオ燃料報告書(Biokraftstoffbericht 2007)として連邦議会に提出した。

バイオ燃料報告書では、バイオディーゼルが3~8セント/リットルで若干過剰補償(Überkompensation)と分析されている(表1及び表2)。しかし、業界団体は、28セント/リットルの過少補償(Unterkompensation)であると発表しており、相互の評価に食い違いがみられる(表3)。 以下に、バイオディーゼルに対するそれぞれの報告書に記載されている調査結果を紹介する。

連邦財務省の報告書抜粋

同報告書によれば、ドイツ国内のバイオディーゼル生産量の内、年間5万トン以上の生産容量を有する大型生産工場のシェアは約97%である。残りの3%は、生産容量5万トン以下の生産工場によるもので、現在約10プラントほど存在している。

Grossanlagen

さらに、同報告書によると、ドイツ国内のバイオディーゼル生産容量は、2006年の後半で350万トンであった。その後建設及び計画中の設備を考慮すると、2007年には500万トンに及ぶであろうと報告されている。しかし、国内原料である菜種からは、将来的に最大200万トンまでのバイオディーゼルしか生産できないであろうと推測されており、これは割当分に匹敵する量でしかない。つまり、国内原料だけでは、現在のバイオディーゼル及び植物油の需要を満たすことが出来ない。もし、国内で調達できる原料を全てバイオディーゼルの生産に投入しても、バイオディーゼル及び植物油生産工場の原料としては足りず、試算では原料の3分の2を輸入しなければならないことになる。

ヨーロッパ原産のバイオディーゼルは、報告書作成の期間中、主にチェコ、ポーランド、フランス、イタリア、そしてデンマークから輸入されていた。 また、大豆を原料としたアメリカからのバイオディーゼル(B99)がドイツ市場に大きな影響を与えていることが確認されている。

過剰/過少補償の現況モニタリング

連邦政府は、バイオ燃料の税制優遇措置によって軽油価格との差が広がらないよう、市場の動向を調査している。つまり、価格差に対する過剰補償、すなわち、バイオ燃料に対して過度な支援にならないよう、エネルギー税法に規定されている市場モニタリングを毎年実施している。

ガソリンスタンドでの販売量は、調査期間中において下降気味であり、ニートなバイオ燃料燃料市場において15%以下のシェアであった。従って、ドイツ財務省の過剰補償に対するモニタリングは、バイオディーゼル及び軽油ともガソリンスタンド価格ではなく事業所(私設給油所、農業用)への販売価格をベースとしている。また、軽油を事業所へ販売する際、ガソリンスタンドでの販売に比べて4セントほど安いため、報告書に記載(表1及び2)されている市場価格は、この4セントを差引いた結果である。

モニタリングは、統合型大規模生産工場と非統合型大型生産工場において実施された。

表1及び表2に記載の統合型大規模生産工場(integriete Großanlagen)とは、原料(菜種)の搾油及び精製所を備えたバイオディーゼルの大型生産工場を意味し、非統合型大規模生産工場(Nicht integriete Großanlagen)は、この搾油及び精製所を備えてない、すなわち原料(精製された菜種油)を外部から調達している生産工場である。

  1. 原料コストは、1トンあたりの菜種及び大豆の種に対する市場価格で、混合比が80対20における植物油のイールド(収率)に換算。卸価格が計算ベースとなっている。
  2. 副産物による利益は、搾油した後の菜種粕を家畜の餌や肥料として販売して得た利益。さらに、グリセリン製造から得られる利益を意味する。
  3. 製造コストは、使用したエネルギー、減価償却及び資金調達、人件費、事務経費、保守点検、その他のコストを意味する。
  4. ロジスティックは、貯蔵及び輸送コストを意味する。
  5. 多重出費補償は、軽油に比べてバイオディーゼルのエネルギー含有量がすくないため、消費が増えること、及びオイル交換を頻繁に行わなくてはならないための運営費を含む。

表1 2006年8月から12月までの市場動向

バイオディーゼル燃料 統合型大規模生産工場
Cent/l
非統合型大規模生産工場
Cent/l
1. 原料コスト 59.4 58.2
2. 副産物による利益 -17.1 -1.1
3. 生産コスト 21.4 11.78
4. ロジスティック 3.5 2.6
5. 多重出費補償 8.0 8.0
6. エネルギー税 9.0 9.0
7. 総計(付加価値税抜き) 83.76 88.34
8. 軽油(エネルギー税込、付加価値税抜き) 91 91
9. 過剰補償  ⑧−⑦ 7.24 2.66

表2 2007年1月から6月までの市場動向

バイオディーゼル燃料 統合型大規模生産工場
Cent/l
非統合型大規模生産工場
Cent/l
1. 原料コスト 60.6 57.9
2. 副産物による利益 -21 -1.9
3. 生産コスト 21.4 11.78
4. ロジスティック 3.5 2.6
5. 多重出費補償 8.0 8.0
6. エネルギー税 8.86 8.86
7. 総計(付加価値税抜き) 81.36 87.24
8. 軽油(エネルギー税込、付加価値税抜き) 90 90
9. 過剰補償 ⑧ー⑦ 8.64 2.76

業界団体(UFOP)の報告書

UFOP(油脂及びたんぱく質作物促進連合)は、原料価格の推移と現状の市場データをもとに、バイオ燃料の現状を分析した結果、バイオディーゼルは過少補償であると本年4月に報告している。原因は、エネルギー税法に規定されている、バイオディーゼルに対する1リットル当たり15(14.88)セントの税金であるとの見解も示している。

表3 ニートなバイオディーゼルの税制優遇に関する報告書(過剰/過少補償の推移)

セント/リットル 2006
6月ー7月
2006
8月12月
2007
1月ー6月
2007
7月ー12月
2008
1月ー3月
菜種油/FOB 搾油所1)

(搾油施設から引き取られる平均的なFOBの卸価格)

56.0 56.0 54.0 71.0 87.0
精製
(粗菜種油の処理と洗浄)
4.0 4.0 4.0 4.0 4.0
エステル化、グリセリン分を除く

(菜種油から菜種油メチルエステルとグリセリンを生成)

9.0 9.0 9.0 9.0 9.0
ロジスティック

(輸送/貯蔵/出荷、ガソリンスタンドのマージン)

8.0 8.0 8.0 8.0 8.0
技術的な多重経費

(オイルやフィルターの交換間隔が短い、バイオ燃料特有の装置)

3.0 3.0 3.0 3.0 3.0
多重消費2) 5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
消費インセンティブ

(バイオディーゼルを消費するためのインセンティブ)

5.0 5.0 5.0 5.0 5.0
エネルギー税

(2006年8月より9セント/lで、毎年引き上げられる)

0.0 9.0 9.0 9.0 15.0
バイオディーゼル総計(VAT含まず) 90.0 99.0 97.0 114.0 136.0
軽油(エネルギー税込、VAT含まず)

(軽油の平均的なガソリンスタンド価格)

97.0 95.0 94.0 102.0 108.0
過剰補償(+)/過少補償(-) +7.0 -4.0 -3.0 -12.0 -28.0

【注釈】

1) 2007年から大豆油が25%を占める。FOB(Free on Board):本船(積み込み)渡し。
2) 軽油に対してバイオディーゼルのエネルギー含有量が少ないために多く消費。

UFOPの要請

エネルギー税法に規定されている、軽減税額の適用期間を下記のとおり延長する。

2008年1月1日から2009年12月31日まで、39.94 セント/リットル(399.40 ユーロ/1000 リットリ)
2010年1月1日から2011年12月31日まで、33.64 セント/リットル(336.40 ユーロ/1000 リットル)
2012年1月1日からは、27.34 セント/リットル(273.40 ユーロ/1000 リットル)

UFOPは、現時点の市場動向を鑑みて、バイオ燃料(バイオディーゼル、植物油)に対しては状況が改善されるまで免税にすべきであるとも報告している。

おわりに

ドイツ政府は、石油産業に対してバイオ燃料の使用を義務付ける一方*)、軽油価格との比較においてバイオ燃料の税金を軽減する優遇措置により、軽油価格とのバランスを保つ政策を取っていると思われる。つまり、過剰補償である場合には、軽減税額から過剰分に相当する額を減らし、過少補償に対しては軽減税額に過少分を増して設定すると考えられる(業界団体の要請参照)。しかし、これは原油価格の変動やその年に設定された割当率との関係によっては、機能しなくなる恐れがあるため、毎年市場の動向をモニタリングしている。本年度に調整が行われるかどうかは、報告書の結果によって決まるが、現状では割当率見直の可能性が高い。

*) バイオ燃料割当法

【参照】 連邦財務省「バイオ燃料報告書2007年」(Biokraftstoffbericht 2007
UFOP資料(現在の軽油とバイオディーゼルの価格) UFOP 報告書

最終変更日時 2008年11月28日9:58 PM