ドイツにおける原子力発電所の稼働期間を延長した場合の経済的効果
報告書によると脱原子力エネルギーの場合、電力の卸価格は2030年までに約2倍以上にあたる90ユーロ/MWhに、またCO2排出権取引の値段は1トンあたり54ユーロ(現行CO2価格の3.5倍に相当)に上昇することが予想されている。
脱原子力発電に対して、稼動期間を60年間延長した場合、ドイツ経済および消費者へプラスに働く要因として以下が挙げられる。
2030年には;
- 脱原子力発電では倍になると予想される電力卸売価格を25パーセント、長期的には70ユーロ/MWh以下に抑制
- 年間3500キロワットの電力を消費する家庭においては、脱原子力発電と比較すると電気代が年間16パーセント(年間144ユーロに相当)節約可能
- 新たに62000人以上の雇用が創出
- 国内総生産が0.31 パーセント増加
- 同じCO2削減量で比較した場合、ヨーロッパにおけるCO2価格を30パーセント低減
それに加えて
- ドイツ国内におけるCO2の排出量が7300万トン減少
- 電力消費者全体に年間最高110億ユーロの経済的軽減
- 燃料、CO2排出権証書、電力の輸入コストが60億ユーロに軽減
- ドイツ経済において150億ユーロの生産上昇を見込
原子力は橋渡し的な技術として今後10年間に上昇する、気候保全およびエネルギー安定供給のための費用を抑えることができる。
早くも2020年に顕在化する稼動期間延長の効果として、
- 電力消費者全体に対して90億ユーロの経済的軽減
- 新たに43000人の雇用を創出
- 国内総生産が0.30パーセント増加
- ヨーロッパにおけるCO2価格を22パーセント抑制
が挙げられる。
野心的な再生可能エネルギーの拡充は原子力発電の稼動期間延長とは矛盾しない。
なぜなら、
- いずれにしても原子力発電の稼動期間延長とは無関係に2020年には30パーセント、2030年には40パーセントの再生可能エネルギー拡充が見込まれ、また原子力存続または、
- 廃止のいずれのケースにおいても現行の推進措置によりコジェネレーションの普及は実行されるから。
- あらゆる考察ケースにおいて推進される再生可能エネルギー拡充の他に、燃料価格の上昇に伴って予想される電力料金の価格ショックに対して、稼働期間の延長は、付加的にドイツ経済の脆弱性を緩和できる。(従来型燃料のIEAによる一般的価格予想をベース)