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PV電力の新たなFITと自家消費に伴う問題点

2010年3月ドイツ政府により閣議決定された改正再生可能エネルギー法 (REL) が7月1日の施行を目指し最終調整されている。今のところ、現行のPV電力(太陽電池による電力)において系統へ売電する場合の価格(FIT)が引き下げられる一方、PV電力を発電者が自家消費した場合のインセンティブが高められる予定である。

閣議決定された改正点については、賛否両論があるため下記に掲げた数値が今後若干変更される可能性はある。いずれにせよ、太陽電池からの電力を系統に逆潮流せず、家庭で直接消費した場合の有利な点と、それに伴う系統運用面での問題点やその他のネガティブな点を以下にまとめてみた。

表1 PV電力自家消費に対して2010年7月1日から適用される予定の買取価格

稼働開始年 30 kWまで 100 kWまで 100 kW以上 800 kW以上
2010年7月1日より 20.88 19.27 17.59   –
2011年(逓減率9%、

2010年の設置容量に依存)

17.92 16.46 14.93   –

適用対象となるPV設備の容量は、現行の30kWから800kWまで引き上げられる予定。

表2 2009年に稼働した設備に対するメリット(優遇策)

1. PV電力を直接消費する場合の買取価格(net) 25.01 Ct/kWh
2. 支払わなくていい家庭用電力 (net) 20.00 Ct/kWh (回避コスト)* 
計  1 + 2 45.01 Ct/kWh
FIT (net) 43.01 Ct/kWh
メリット 2.00 Ct/kWh

 現在の平均的な電気料金

表3 2010年において旧RELに基づき稼働している設備に対し以下が適用される;

1. PV電力を直接消費する場合の買取価格 (net) 22.76 Ct/kWh
2. 支払わなくていい家庭用電力 (net) 20.00 Ct/kWh (回避コスト)
計  1 + 2 42.76 Ct/kWh
FIT (net) 39.14 Ct/kWh
メリット 3.63 Ct/kWh

表4 2010年において改正RELが発効した後に稼働した設備に対しては、以下が適用される予定 (30kW以下の設備);

1.
PV電力を直接消費する場合の買取価格 (net)
20.88 Ct/kWh
2. 支払わなくていい家庭用電力 (net) 20.00 Ct/kWh (回避コスト)
計  1 + 2 40.88 Ct/kWh
FIT (net) 32.88 Ct/kWh
メリット 8.00 Ct/kWh

系統へ逆潮流する電力の買取価格 が32.88 Ct/kWhに対し、自家消費した場合には20.88 Ct/kWhで買い取られるため、1kWhに対して8.00 Ct.のボーナスとなる。

電気料金が本年中、22.00 Ct/kWhに値上がりした場合1+2=42.88となり、42.88-32.88=10,00 Ct/kWhのボーナスとなる。

家庭用電気料金の内訳と推移

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PV 電力の直接消費における問題点

2009年1月1日からRELに導入された直接消費規定に基づき、太陽電池の電力 (PV電力) を自家消費する需要家は、立法手続中のRELが7月1日に施行されると、1kWhあたり8セントのボーナスが得られる(表4)。電気料金の増加に伴い、このボーナスも増加する仕組みとなっている(表4注釈参照)。晴天時に自給電力を使って洗濯機や乾燥機を利用する家庭は、系統の負担を減らすと同時にPV電力自家消費者の負担も減らす、と連邦環境相ノルベルト・ゲットゲンは主張する。しかし、『PHOTON』誌は連邦環境省や太陽電池業界が、自家消費が増加した場合の影響について調査を行っていないと指摘する。

現在予定されているインセンティブが適用されれば、2011年以降、約3億kWhのPV電力が直接需要家において消費されると推定されている。しかし、このPV電力自家消費が国の歳入へ与える影響は甚大である。電気の売買により生ずる電気税は、付加価値税に続いて重要な財源である。それは、1kWh 2セントであり、総計すれば6百万ユーロに及ぶ。この電気税は、その全額が年金保険財源に充当されており、この収入が少なくなれば、年金保険財源にも影響を及ぼす。続いて地方自治体も、その地域で売電する電力会社とコンセッション契約(独占的供給権)を交わすことによって収入を得ている。その額は平均して1 kWhにつき1.8セントであり、ドイツ全土で年間540万ユーロになる。地方自治体の収入も他の手段によって埋め合わせる必要があり、自治体の財政を圧迫することにもなる。

さらにPV電力自家消費は、系統を利用しないため利用料金(託送料金)が免除されている。しかし、これは系統の建設と維持がより安価になるということを意味しているのではない。つまり、増大するPV電力自家消費に際して、現在の系統利用料金では不足が生じ、太陽電池を設置してない需要家は、さらに多くの託送料金を負担しなければならない。これによって社会の連帯原理が機能しなくなる可能性がある。現時点で見れば、それは国民経済にとって大きな額ではないかもしれない。しかし、これが20年にわたれば、損失は6億ユーロ以上に及ぶのである。

PV電力の自家消費は、国の歳入問題だけではなく、系統にも技術的な問題をもたらす。自家消費家庭は、できるだけ多くの電力を自家消費しようとするであろう。晴天の日には、さしたる問題は生じないが、曇りの日には自給不足となり、系統から買電しなければならないため系統の負荷が増大する。幸運であれば、予備のピーク負荷用発電所を立ち上げるだけでよいが、その場合でも結果として取引所での電気料金は上がるであろう。不運であれば、負荷はヨーロッパの系統連系における瞬時(分刻み)の予備電力を超え、地域的な停電が起きる可能性がある。

最後に、電力会社にとってもPV電力の自家消費家庭を抱え込むことは危険が伴う。PV電力自家消費に伴う問題は、出力の不安定性にある。電力会社は、長期にわたってさまざまな需要家の電力消費動向を把握し、消費パターンである標準負荷曲線(Standardlastprofile)を設定している。電力会社はこの標準負荷曲線に基づいて、供給計画を策定しているため、自家消費の動向によっては、この計画の見通しがつかなくなってくる可能性がある。

法案が成立するまでには、各団体からも意見が出され調整されると思うが、ハンブルクに本社を置き、PVパネルを世界各地で販売しているConergy社は、このPV電力自家消費をビジネスとして展開させるため、100世帯を対象としたパイロットプロジェクトを実施している(Conergy社プレスリリースより)。

出典: 連邦環境省資料PHOTON März 2010 ”Billiger gewollt ist teuer bekommen”
     Warum die neue Energieverbrauchsregelung mehr schadet als nützt

最終変更日時 2010年5月10日4:28 PM