ソーラー・ロビーと連邦環境省が妥協
連邦環境省と業界連盟BSWソーラーは太陽光発電支援のさらなる縮小に関する妥協案に合意した。これにより、太陽光発電に対する買取価格は本年6月1日からさらに減額されることになると政府、連立与党、業界関係者が明らかにした。
早期削減幅がどれ位になるかは、2011年に新たに設置される発電設備の数によって決定される。これは、3月から5月にかけてドイツ国内の屋根に設置される太陽光発電パネルの設置容量に依存しており、この四半期に設置された容量が4倍されて年間の発電容量が推計される仕組みとなっている。
推定容量が3500メガワットを超える場合には6月1日から買取価格が3%カットされる。以降4500メガワット以上では6%、5500メガワット以上では9%、6500メガワット以上では12%、7500メガワット以上では15%の削減となる。年末にはさらに9%が削減される。ただし、これには前年の発電容量増加予測が正確であったかが評価される必要がある。
環境省とロビー団体は1月20日にもマスコミに向けて共同記者会見を行う予定となっている。これによりロビー団体が後々にこの妥協案について非難することを防ぐ狙いがあると政府関係者は話している。ドイツキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)の連立政権は、来る州議会選挙で反環境的であると非難されることを防ぐためにも、支援額削減の議論を速やかかつ円滑に行う必要がある。昨年は削減率をめぐり、何ヶ月も醜い議論が繰り広げられたからだ。
早期支援削減の背景には太陽光発電セクターの予想外の急成長がある。最新の予測では2010年のドイツの太陽光発電施設の接続容量は8000メガワットを越える。市場調査会社のGreentech Media Researchは2010年に設置される太陽光発電パネルの約半分がドイツ国内に集中すると述べている。
未来型エネルギーの発展を十分に支援するためには消費者の負担が重くなってしまう。太陽光発電を行い、系統に接続して電力を逆潮流する者には、FIT (固定買取価格) として支払われる。つまりドイツの電力消費者 (小口需要家) が、領収書にEEG 負担金1) という名で記されているように、この負担のつけを支払っているのである。現在は、1キロワット時あたりおよそ3.5セント2) になっており、年間では約100億ユーロに及ぶ。
CDU/CSUとFDPの連立政権は、ソーラーロビーと環境省の妥協をできるだけ早く実行に移す必要がある。最初の会合はすでに始まっていると連立政党の関係者は語っているが、何人かの議員はこの妥協案にもいまだ懐疑的である。
1) 再生可能エネルギー負担金
2) 1ヶ月約1000円分の電気料金に相当
キャップ導入の行方は
専門家はこの妥協案は行き過ぎだとみている。「今回推し進められた追加的な早期削減により、本来年末に予定されていた買取価格の削減が前倒しで実施されることになった。これはつまり太陽光発電パネル設置ブームの前倒しにすぎない。言い換えればこれは太陽光発電産業に対する景気刺激策の代わりを果たしているにすぎない。」
太陽光発電業界が危惧するのはこの妥協案のみではない。企業が本当に恐れているのは、総設置容量に上限が課せられることである(これをキャップと呼んでいる)。似たような政策はすでにフランス政府が実施してる。中央データ管理機関(Datensammlestelle)は間もなくフランス国内で新たに申請される太陽光発電施設に関して、可能容量上限を登録することになる。登録された太陽光発電パネルの発電容量が500メガワットに達した場合には、支援上限が適用される。この場合には新規施設の支援金支払いは次年度に持ち込まれることになる。
トーマス・バライスCDUエネルギー政策担当はこのキャップの必要性を訴えている。彼がノーバート・レッティゲン環境大臣、連合の連立代表フォルカー・カウダーに当てた手紙には、2012年より例えば支援の設置容量の上限を3000メガワットにすべきだとの内容が記されている。これにはギュンター・クラマーBSEソーラー代表が反発している。
株式市場もこの非公式のニュースに反応して、ソーラー関連の株式が高騰している。
出典: Spiegel Online 2011年1月18日 記事
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