再生可能エネルギー法2012年度改正案の成立 − 太陽光発電支援の変更点 −

  1. 太陽電池(PV)の設置容量に対して、年間1~2 GW (ギガワット) のキャップ(上限)設定は今回見送られた。
  2. 屋根設置型(ルーフトップ型)PVの分類方法(0−30、30−100、100-1000、>1000 kW )は変わらず。FITはルーフトップ型だけに限らず、建物一体型についても同様に適用される。
  3. 2011年末までと規定されていた自家消費に対するルールを2年延長して2013年までとする。2011年6月6日の改正案に反し、自己消費のルールは容量500kWまでのPVに対して適用される。つまり、自家消費電力が発電量の30%以下の場合、それぞれ適用されているFITから16.38 ct/kWhを差し引いたもの、自家消費電力が発電量の30%以上である場合には、12 ct/kWhを差し引いたものが(自家消費電力に対して)適用される。
  4. 供給管理が法的拘束力を有す:
    1. 2012年1月1日より、出力100 kW以上の新設PVは、系統が過負荷となった場合、系統への供給電力を遠隔操作で下げたり、それぞれ実際の供給量が読み取れるよう技術上の装置を取り付けなくてはならない。 既存のPVについては、2012年7月12日までに後付しなくてはならない。

    2. 出力が30から100 kW までのPVは、同じく2012年1月1日より系統が過負荷となった場合、系統への供給電力を遠隔操作で下げられるよう技術上の装置を取り付けなくてはならない(簡易的な供給管理システム)。 2009年1月1日以降に設置されたPVについては、2013年の終わりまでに後付しなくてはならない。

    3. 出力30 kW以下の小型PVは2012年1月1日より、同じく系統が過負荷となった場合、系統への供給電力を遠隔操作で下げられるよう技術上の装置を取り付けるか、連系点での供給量を常に容量の70%に下げて運転するかを選択しなくてはならない。同じ容量を持つ既存のPVについては、当該規定は適用されない。

    4. 系統運用事業者は、出力100 kWの施設を所有するPV運営者に対して、制御内容を通知しなくてはならない。当該義務は出力100 kW以下のPVには適用されない。(前提条件は、制御期間が暦年において15時間以下であること)。基本的に、小型のPVは、大型PVに比べ劣位として制御される。

  5. 固定価格買取(FIT)に対する設置容量の幅(回廊:年間あたりの設置容量)は2,500MWから 3,500MWと変わらず。しかし、年間あたりの設置容量が当該幅を逸脱、つまり上回る場合には1,000 MWごとに対して付加的に3%の逓減率割り増しが行われる(基準となる逓減率はそれぞれ1月1日において9%)。

  6. 2012年7月1日からは、年の半ばに実施されるPV支援(FIT)の調整が新しく導入され、次年度の逓減率に反映される(年間の設置容量に対する基準となる期間:前年度の10月から次年度4月まで)

現行のFIT:

< 30 kW 28.74 ct/kWh
30 – 100 kW 27.33 ct/kWh
100 – 1000 kW 25.86 ct/kWh
> 1000 kW 21.56 ct/kWh
転用地での平地設置型PV 22.07 ct/kWh
その他の平地設置型PV 21.11 ct/kWh

出典: krannich Solar社のウェブサイトより抜粋、 PDF版

その他の関連ウェブサイト:
クリアリングハウスのウェブサイト:
2011年6月6日付改正法案及び2011年7月1日改正法決議

http://www.sonnewindwaerme.de/sww/content/solarstrom/details.php?id=859

http://www.bundestag.de/dokumente/textarchiv/2011/34915890_kw26_angenommen_abgelehnt/index.html
http://www.photovoltaik.eu/nachrichten/details/beitrag/bundestag-verabschiedet-eeg-novelle_100005598/

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