インターソーラー2016:大手電力会社も家庭用電池で収益確保へ

 入札の結果は以下のとおり。

表 1 太陽光発電の入札結果

2015年4月 8月 12月
入札容量
応札数
(応札容量)
150 MW
170
(715 MW)
150 MW
136
(558 MW)
200 MW
127
(562 MW)
落札件数
(落札容量)
25
(157 MW)
33
(159 MW)
43
(204 MW)
除外件数
除外容量
37 (21.8%)
144 MW (20.1 &)
15 (11%)
33 MW (5.9 %)
13 (10.2%
33 MW (5.9%)
買取価格
最高応札額
9.17 ct/Kwh
11.29 ct/Kwh
8.48 ct/Kwh
11.18 ct/Kwh
8.00 ct/Kwh
11.09 ct/Kwh
丹生圧実施時の固定価格
買取制度の買取価格
9.02 ct/Kwh 8.93 ct/Kwh
RELの固定価格買
取制度は廃止済み
決定方式 Pay-as-build Uniform Pricing Uniform Pricing

出典:連邦ネットワーク規制庁『野立て太陽光設備に対する支援の入札制度の試験導入の評価』

 以上、ドイツではすでに野立ての太陽光に対する固定価格買取制度は事実上終了している。結果、ドイツの2015年3月−2016年2月の太陽光発電の新規導入量は1.4GWpにとどまり、政府目標の2.4−2.6GWにも届かなかった(連邦ネットワーク規制庁)。

 しかし、連邦政府は2016年以降も入札制度を維持する予定であり、そのスケジュールは以下のとおり。

  • 2016年 4月1日 125MW
  • 2016年 8月1日 125MW
  • 2016年12月1日 150MW
  • 2017年 4月1日 100MW
  • 2017年 8月1日 100MW
  • 2017年12月1日 100MW

 このように、太陽光発電に対するドイツ政府の支援は年々少なくなり、すでに経済的に新規設置が難しい状況まできている。

 しかし、太陽光発電をめぐる状況にはポジティブなニュースも見受けられる。その1つが自家消費の経済性の向上である。2016年中、遅くとも2017年はじめには、太陽光発電+蓄電池のオプションの発電単価が家庭用電力小売価格を下回る蓄電パリティに到達するとみられる

* ここ最近の資源価格の低迷により、電力価格の伸びも予測より鈍化しているため、蓄電パリティ到達に若干遅れが出るという見方もある。

Abb_1

図 1 家庭用電力小売価格と太陽光発電設備および太陽光発電+蓄電池の発電単価

出典:GTAI『ドイツ国内の定置型蓄電向け電地、市場概観』

 去年からテスラの家庭用蓄電池Power Wallが話題となっているが、ドイツ国内の蓄電池を引っ張るのは恐らく韓国企業である。具体的な価格を明かしてくれる企業はないが、設置業者の印象では、韓国メーカーの電地価格は数年でテスラに匹敵するまで下がるとのことだ。ただし、日本の電地パックメーカーの注目度も高く、奮起に期待したい。

 この状況に対して、ドイツではすでに大手電力会社も反応している。例えばRWEは自家消費用の太陽光発電設備と蓄電池をリースサービスを提供している 。大手電力会社が一括して調達すれば、太陽光発電+蓄電池の調達コストはGTAIの予測より安くなる可能性もあり、その場合には、特に2018年以降は家庭用電力小売価格と同じ単価に設定すればこのサービスはRWEにとっても十分利益を出せる商品となるだろう。2015年6月に太陽光発電の見本市、インターソーラーでRWEに話を聞いた際は、まだ収益をあげられるほどではないがイメージ向上のために提供しているといった具合だったが、今後主力商品の1つになってくる可能性もあるだろう。すでに、似たようなサービスを開始している小売業者は他にもある。

 今年もインターソーラーが6月22−24日にかけてミュンヘンで開催される 。再エネ電力ビジネスの最新動向を知るには絶好の機会だ。弊社でも見本市のガイドサービスなどを提供しているので、気になる方は弊社まで問い合わせを。

出典:

  1. http://www.bundesnetzagentur.de/SharedDocs/Downloads
  2. http://www.energiewelt.de/web/cms/de/2391698/energieberatung/solarenergie-photovoltaik/rwe-homepower-storage/maximale-eigenstromnutzung-erreichen/