ドイツにおける輸入税額の計算方法

計算例

ドイツ税関のサイトに、アメリカからドイツに輸入される機械を例とした輸入税額の計算方法が紹介されていますので、概要を以下に記します。税関サイトでは、ボストンより仕向港をロッテルダムとし、機械がベルリンまで輸送されることを前提とした輸入税が算出されています。

計算例の前提として以下の金額が請求書に記載されます:
工場敷地引き渡し価格: 10,000 ユーロ
仕向港ロッテルダムまでの輸送費: 1,200 ユーロ
ロッテルダムからベルリンまでの輸送費: 300 ユーロ
関税率: 2 %と仮定
輸入税率(EUSt): 19 %

計算手順

課税価格

金額

関税価格の算出

工場敷地引き渡し価格

10,000 ユーロ

指定仕向港 ロッテルダムまでの輸送費

1,200 ユーロ

関税価格

11,200 ユーロ

関税額の計算

関税価格 (11,200 ユーロ) x *関税率(2 %) = 関税額

224.00 ユーロ

 

輸入価格の算出

関税価格

11,200 ユーロ

+ 関税額

224.00 ユーロ

+ EU内輸送費

300.00 ユーロ

=輸入税算出のための課税価格(輸入価格)

11,724 ユーロ

輸入税額の算出

輸入価格(11,724 ユーロ) x 輸入税率(19 %) = 輸入税額

2,227.56 ユーロ

輸入税総額

税額

224.00 ユーロ

輸入税額

2,227.56 ユーロ

総額

2,451.56 ユーロ

 

出所: ドイツ税関ホームページ(2018年7月13日)

*関税率(TARICコード):
この関税率は品物によって異なり、EUのホームページ
TARICのデータベースで検索できます。
また、
ドイツの税関へ商品の詳細と共に問い合わせるとTARICコードを教えていただけます。

(英語)
Tel:+49-(0) 351 44834-530
Fax:
+49-(0) 351 44834-590
E-Mail:enquiries.english@zoll.de

(ドイツ語)
Tel:
+49-(0) 351 44834-520
Fax:
+49-(0) 351 44834-590
E-Mail:info.gewerblich@zoll.de

補足情報

2018年7月17日(火)、東京にて日EU経済連携協定(EPA)が署名されました。同協定は当記事で取り上げている「ドイツにおける関税率」に影響するため、補足として「協定本文(和/英)」、「関税への影響」と「中小企業に対する配慮」について下記に述べます。 

1)協定の本文は外務省のウェブサイトから確認できます。
日EU経済連携協定(和文テキスト)
日EU経済連携協定(英文テキスト)

2)協定に伴うドイツにおける関税率への影響
関税撤廃 – 経済連携協定が発効すると、EUから日本に向けた輸出の関税が90%以上廃止されます。協定の完全実施後は、EU​​から輸入される商品(タリフラインに従う)の97%に対する関税が廃止されます。他のタリフラインでは、関税割当や関税引き下げといったかたちでの一部自由化が見込まれます。EUの輸出事業者にとっては、年間およそ10億ユーロの関税削減となります。

日本からEU(ドイツを含む)への輸出に関して、関税撤廃率は約99%にも達しています。例えば乗用車の現行税率は10%ですが、今後8年目に撤廃されます。また自動車部品では、貿易額で9割以上が即時に撤廃されます。この他の一般機械、化学工業製品、電気機器も高い割合でEU側の関税が即時に撤廃されるため、大企業だけではなく、メーカーに部品を納入する中小企業にとっても恩恵となります。農林水産品についても、牛肉、茶、水産物等を含めてほぼ全ての品目で関税が撤廃(ほとんどが即時撤廃)されます。 

上記関税撤廃に関する詳細情報は協定の附属書二 A「関税の撤廃及び削減」にて確認できます。 

附属書二 A(和文テキスト)
附属書二 A(英文テキスト)

3)中小企業に対する配慮
中小企業については一章(第二十章 中小企業)を設けてあり、特に透明性が向上するため、この協定は広範な利益をもたらすことになります。情報にアクセスできなければ、特に中小企業にとっては、貿易の障壁となる可能性があります。したがって、EUと日本はいずれも、中小企業に各市場へのアクセスに関する重要な情報を提供するための専用ウェブサイトを構築する義務を負っています。中小企業向けに特別な連絡部局を設置する予定で、この第二十章に関連する質問、および中小企業に該当するこの協定の他の部分の質問に対応します。

なお、この中小企業連絡部局は協定の効力発生の日に具体的に指定されます。


出所1: http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-18-3326_de.htm
(2018年7月23日)
出所2: http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000382204.pdf
(2018年7月23日)