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ドイツ政府の原子力発電所稼動期間延長、判断は初秋の見込み

原子力発電所の稼動期間延長に関する政府の判断は、9月まで延期となりそうだ。与党のキリスト教民主同盟(CDU)のグレーエ幹事長とキリスト教社会同盟 (CSU)フリートリッヒ連邦議会会派代表が15日に明らかにした。その理由は7月に予定されていた専門家鑑定書の完成が8月末になるというもの。

この6月4日に、メルケル首相とレットゲン連邦環境相、ポファラ官房長官、及び原子力発電所立地5州首相(バイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州、ヘッセン州、ニーダーザクセン州)の間で持たれた協議後、政府は7月末に判断を下すと発表したばかりだった。それによれば、本来今秋に予定されていた政府エネルギー構想の発表を7月末に繰り上げ、稼動期間延長については、法律の制定手続きを巡る問題も含めてその時点までに回答を出すということであった。

周知の通り、現連立政権は、再生可能エネルギーがエネルギー供給の主流となるまでの期間について原子力発電所の稼動期間(現行原子力法では32年)を延長すると決めたが、延長期間や付帯条件など、政府と原子力発電所運用事業者との交渉の前提をなす条件の決定は5月以降に持ち越されていた。

6月4日の協議前には、キリスト教民主・社会同盟内での合意成立を目指すとのメルケル首相の事前発言もあり、稼動期間延長について踏み込んだ方向性が示されるとの見方が優勢だった。運用事業者筋も、首相周辺で計画はかなり進捗をみており、延長期間の最終判断は間近だと観測をしていたという(南ドイツ新聞報道)。しかし稼動期間延長判断は2ヶ月先に持ち越され、今回さらに2ヶ月の延期となった。

南ドイツ新聞は、今回の延期理由として以下の2点を挙げている。

  1. 鑑定書作成者が、7月半ばまでの短期間にドイツにおける将来のエネルギー消費とエネルギー源に関するすべてのシナリオを検討することは不可能と指摘したこと、
  2. 連邦内務・司法両省で検討中の、連邦参議院での承認手続きを踏ますに稼動期間延長を行うことについての法的評価も、結論が出るのが8月にずれ込む見通しであること。

稼動期間の延長は、原子力法に関する連邦から州への委任行政の導入(基本法第87c条)に当たることから、これを定める法律は連邦参議院で承認されることを前提として、議論がなされてきた。だが5月のノルトライン=ヴェストファーレン州議会選挙後、与党が連邦参議院で過半数割れとなったため、政府は連邦参議院承認手続きを踏まない方向での具体化を検討し、首相府、環境省、発電所立地5州は、先述の6月4日の協議において承認手続きなしの延長で合意した。

連邦参議院承認手続き回避により、延長期間は相当短くなるものと見られている。レットゲン連邦環境相は、承認手続きなしでも法的に「問題のない(moderate)」延長期間は、せいぜい10年だと指摘している。CDU・CSU連邦議会会派はこれまで28年を主張していたが、フリートリッヒCSU連邦議会会派代表は今回、「いずれにしろ10年以上」との発言にとどめている(フランクフルタールントシャウ紙)。

原子力発電所稼動期間延長に対しては、野党の社会民主党、緑の党、左派党や環境保護団体は徹底反対の姿勢を強めており、世論調査でも現状の脱原子力政策維持の声が依然強い。だが政権発足後半年経過後も未だ明確な枠組みが示されない背景には、世論の支持が低いことに加えて、政府部内ならびに与党政党内でも稼動期間延長の枠組や進め方を巡って見解が統一されていないことが大きい。

延長期間については、今年2月にレットゲン連邦環境相が延長は8年にとどめるべきだと発言したことで、与党内に激しい義論が起こった。連邦参議院承認手続きを巡る議論でも、承認手続きは必要だとする環境相と他の与党政治家の間で見解が対立していた。またブリューデルレ連邦経済技術相は連立当初から稼動期間延長の早期具体化を提唱、これに対してレットゲン連邦環境相は、原子力発電は再生可能エネルギーへの橋渡し技術であるから、稼動期間延長に関する決定は政府が今秋までに策定するエネルギー構想との関連で下すべきとの主張を一貫して展開してきた。

さらに、政府が財政緊縮法案の一環として打ち出した年間23億ユーロに上る燃料棒課税についても、同税導入を稼動期間延長と組み合わせた上で行うか、それとも単独導入とするかで、メルケル首相とカウダーCDU連邦議会会派代表の間で統一見解が取れていない。

6月9日にはブレーメン州が、7月の連邦参議院において、連邦参議院承認手続きを経ずして原子力法の変更をしないよう連邦政府に求める決議案を上程すると発表した。さらに同州は、連邦参議院承認続きを回避した法律制定の場合には連邦憲法裁判所への提訴を辞さないと宣言している。

一方、キリスト教社会同盟(CSU、バイエルン州政権政党)のフリートリッヒ連邦議会会派代表も、15日、稼動期間延長法案が連邦参議院で審議され、否認されることになれば、脱原子力を決めた2002年改正原子力法の制定過程を問題とし、連邦憲法裁判所に規範審査訴訟を起こすと言明した。

新政権の威信をかけた原子力発電所稼動期間延長政策だが、この夏の間も、なお熱い議論が展開されることになりそうだ。

情報出所:

  1. Süddeutche.de ”Krach unter der Kuppel”
  2. Süddeutche.de ”Koalition vertagt Atom-Entscheidung”
  3. Spiegel-online.de ”Wie Schwarz-gelb in die Atomfalle schlitterte”
  4. Spiegel-online.de ”Bremen will Laufzeitverlängerung kippen”
  5. faz.net”Regierung legt Energiekonzept im Sommer vor”
  6. FR-online.de “Röttgen siegt im Atomstreit”
  7. FR-online.de “Koalition vertagt Laufzeit-Entscheidung”

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最終変更日時 2010年6月16日9:50 PM