EU委員会がハンブルクの火力発電所の件でドイツを提訴

ハンブルク市モーアブルク地区(Hamburg Moorburg)の石炭火力発電所の建設計画において、EU委員会の視点に基づく環境保護対策が十分でなかったことが判明。その結果、EU委員会は、ドイツをルクセンブルクに所在する欧州裁判所に訴えた。サケや河川及び海洋に生息するヤツメウナギなど保護された魚種がエルベ川を上流に向かって遊泳する際、発電所の冷却システムを構成する取水設備によって魚類に危害が及ぶと当局は懸念している。

EU委員会は、発電所建設の認可を下したのがドイツ*で、その事実が自然保護に関わるEUのFFH 指令 (Fauna-Flora-Habitat-Richtlinie) に抵触すると判断し、提訴に踏み切った。当該指令に規定されている精査が実施されず、保護魚種の死滅が回避可能な冷却システム代替案の検証も行われなかった。

モーアブルクの石炭火力発電所は、一年以上にわたる試験運転の後、2015年3月初旬に商用運転を開始した。環境保護団体は、同発電所が温暖化ガスである二酸化炭素を排出するとして抗議している。運用事業者であるヴァッテンファル (Vattennfall)によると、従来の同型の石炭発電所に比べ二酸化炭素の排出量は大幅に低減されるそうである。

*) 発電所が建設されたのはハンブルク都市州であるので、本来訴えられるのは許認可を発行したハンブルグ都市州であるべきだが、EUの窓口となっているのはドイツ政府であるため、ここは敢えてドイツと記されている。過去にはニーザーザクセン州が、EU 水枠組指令を順守しなかったということで、EU 委員会はドイツ政府に罰金の支払いを求めたが、ドイツ政府はニーダーザクセン州に支払うよう指示した経緯がある。

出展: Spiegel Online 記事 (2015年3月27日閲覧)